2013年1月25日

オスとメスのお話

 先日、知人に「面白いから」と半ば強制的に貸して貰った漫画「大奥」を読んだ。

表紙には美麗な武士、漫画のオビには「男女逆転大奥―将軍は女、大奥には美男三千人」の文字。なんだコレはBL漫画?私腐女子じゃないよ。そもそもこんな設定成り立つのか?と胡散臭さを感じながらページをめくると、もう一気にハマってしまって。作者よしながふみ氏の描き出す江戸の世界にどっぷりと浸かってしまった。すでに映画とテレビドラマでの実写化もされている超人気作品らしい。

 物語の舞台は江戸時代。いや、江戸時代をモデルとしたパラレルワールドと言ったほうが正しいだろう。男子のみに感染・発症する謎の疫病「赤面疱瘡」により、男子の数は瞬く間に減少。男女比率は4:1で安定はするものの、治療法が見つからないまま社会の在り様は激変する。男子はその生存率の低さゆえに子種を持つ宝として大切に育てられ、婿入りも裕福な階級のみに許される特権に。あらゆる家業が女から女へと受け継がれるようになり、それは武家とて例外ではなかった。将軍職もまた、三代・家光以降、女子の継ぐところとなる。そして唯一の天下人である公方様のみに許される最高の贅沢、それが男子の少ない世の中で、美男3千人を集めたと言われる女人禁制の男の城「大奥」であった…。

 とまあトンデモな物語設定なわけだが、巧みに史実を交え人間模様が生々しく描かれている傑作。歴史モノともSFモノとも言えるそのストーリー構成は素晴らしく、文字通り「男女逆転」となってしまった江戸の世で生きる女たちの痛々しいまでの生き様は、21世紀に生きる女性として考えさせられるものがある。

 この作品が支持を集める理由として、女のドロドロ劇の象徴でもある「大奥」が男女逆転するという設定そのものの物珍しさよりも、日本という国が生き残っていく手段として、社会全体が「男女逆転」する道を選ばざるを得なかったという必然性と合理性が、凄まじい説得力を持って描写されている点にあると思う。作品を読みながら「男女逆転」の世の合理性にまんまと納得させられてしまった。

 あれ、女だけのほうがむしろうまくいくんじゃないの。男の役割なんて種付けだけでいいんじゃン。なんて言うつもりはないけれど、生物学的に見た事実に沿っているというかなんというか。ゴニョゴニョ。


 生命が地球上に発生してから約10億年もの間、生物の性は単一で全てがメスであった。メスはだれの助けも借りずに子どもを生み、その子どももまたメスであった。やがて娘は成長し、母となり、自分にそっくりの娘を生み落とす。その世界には嫉妬や羨望というものがなかった。みなが自分の美しい遺伝子に誇りを持ち、脈々といのちを紡いでいた。

 しかしメスが単独で子どもをつくる合理的な仕組み、単為生殖には、一つだけ決定的な問題点があった。母と同じ型の遺伝子を受け継ぎ増殖することはできても、他のメスの遺伝子を取り込み、新しいタイプの遺伝子を生み出すことが出来なかったのだ。これはすなわち、突然の環境の変化が起こった時、より強い遺伝子を生み出せない種は絶滅することを意味した。

 生命が発生して10億年、大気中の酸素は徐々に増え、酸素は様々な元素を酸化し、地球環境に大きな変化がおとずれようとしていた。この危機的状況においてはじめて、メスは自分たちと違った遺伝子、オスを必要としたのだ。

 メスたちは、お互いの遺伝子情報を交換して、今までとは違った特性と体質をもった子どもを何通りも作る必要があった。苦肉の策として、メスは自分の遺伝子情報を一部変え、オスの子どもを生んだ。オスは成長し、母の遺伝子情報が託された精子を他のメスに与える。すると母の遺伝子は他のメスの遺伝子と混合され、より強く、多様性に富んだ遺伝子を作り出すことに成功した。

 たとえどんな環境の変化がおとずれようと、母たちの美徳を併せ持った子どもたちのうちの誰かが生き残って子どもを生み、生命の糸を絶え間なく繋いでくれるだろう…。

 故に生物の世界においてはオスよりメスのほうが圧倒的に多く、少数派のオスたちはメスからメスへと遺伝子の受け渡しさえしてくれればいいのだ。事実、アブラムシのような虫の世界では、必要な時だけオスが生産されることもある。


 こうなってくると、アダムが孤独に耐えきれずその肋骨からイブを作り出したという話は全く荒唐無稽に感じられる。

本当はこう。

「神よ、あなたは私をお創りになり、素晴らしい楽園までも与えてくださった。しかし私は孤独で仕方がないのです」

「イブ、それではお前に『男』というものをくれてやろう」

「男?それはいったい何なのでしょう」

「お前よりも力が強く、逞しく、お前の代わりに危険な狩りや殺しまでしてくれる非常に頼りになるパートナーだ。」

「それは素晴らしい。是非私に男をお与えください」

「しかし一つだけ条件がある。男は欠陥がある創造物です。攻撃的で、傲慢で、自尊心が強く、思いやりがないのだ。お前は、彼にまるで彼からお前が創られたかのように思わせなくてはならないのだよ。これは私とお前だけの秘密だ。」

 こうして、何世紀もの間、女は男を立て、思い込ませ、世の中をコントロールしていくのであった。チャンチャン。



スミマセン、悪ふざけが過ぎました。でも「大奥」はすごくお勧めです。
少女漫画と馬鹿にせずに、是非手に取ってみてください。


1 コメント:

聖書軽く論破やな。さおりん教の一番弟子にしてください。ちーちゃん二番。