2013年3月24日

ねこばなし。



  夜疲れて帰宅する。部屋の明かりをつけてベッドに倒れこむ。今日一日に起きた出来事をぼんやりと振り返って、ひとり反省会を始めると、ほどなくして「ナァ~、ナァ~」という可愛コぶった声。部屋のドアの向こう側からだ。「ハイハイ」とドアを開けてやると、我が家に住みついているトラ猫が、待ってましたとばかりに駆け込んでくる。
  猫の名は“ティガー”。黒と灰色のストライプのオス猫で、額のM字模様がかっこいい。生年月日は平成22222日。ニャン・ニャン・ニャンの日だ。もちろんこれは作り話で、ティガーはもともと近所の野良猫。ある時からこの家に住みついたらしい。といっても、出自のわからぬノラのことだから、ウチ以外にも「エサ場」は二、三確保してあるのだろう。



  私が住んでいるシェアハウスには、ティガー以外にも、現在訳あってもう二匹猫がいる。ふさふさロングヘアーの黒猫“ドゥードゥー(通称ドゥー)”と、いつも素っ頓狂な顔をしているこれまた黒猫の“ダイヤモンド(通称ダイ)”。ドゥーは引っ込み思案なタチで飼い主のマリさんにしか中々懐かないが、ダイはというと誰にでもちょっかいを掛けるやんちゃっぷり。もちろん彼はティガーにもちょっかいをかける。ティガーは彼の存在が嫌で仕方ないらしく、ほぼ毎日のように私の部屋に逃げ込んでくるのだ。



  猫の世界にも色々あるらしい。 2匹の猫たちがやってくる前に比べ、ティガーは明らかにストレスを感じているように見える。私の部屋で匿われている間のみが彼の平和な時間らしく、以前にも増して同じ空間でふたり同じときを過ごすことが多くなった。
  平和な時間であるのは私にとっても同じで、嫌なことがあった日、ぶつけようのないイライラに心が疲弊している時など、そばにいてくれるだけで、「気にすんなよ、大丈夫だって」となんだか慰められている気がしてくるのだから不思議だ。
  世間では、「雄猫が婚期を遅らす」なんて吹き込む輩がいるようだけど、あながち間違いではないかもしれない。休日の朝、ティガーとふたりで部屋の窓から漏れる朝日を浴びながら、パジャマ姿で読書をしている時なんか、これ以上の幸福なんてないと思ってしまうことがある。猫は最高の癒しです。






  京都は、猫が多いまちだと思う。

  猫が好みそうな古い家屋や細い路地が至る所にあるからなのか、元来猫を愛する地域性なのか、もしくは私が単に猫好きだからやたらと目につくだけなのか。理由は分からないけれど、私が知っているどのまちよりも、猫と目が合う確率が高いのは確かだ。そして、日本一「猫が似合うまち」でもあると思う。とにかく、画になる。



  今回、猫好きの皆さんの為に、京都のとっておき猫スポットを少しだけご紹介しよう。正直なところ、あまり人に教えたくはないのだけれど(どっかの悪いヒトが悪いコトするかも知れないし)、京のまちで、はたと猫に出逢ったときの何とも言えないこの心持を、猫好きで京都好きの方々ならきっと理解してくれるに違いない。




そのいち。哲学の道。



  哲学の道と言うと、誰もが知っている京都の観光スポットのひとつ。南は南禅寺付近から北は銀閣寺まで続く疎水に沿った散歩道。
  京都の哲学者、西田幾多郎がこの道を思索にふけりながら散歩していたことから「思索の小径」と言われていたが、いつからか「哲学の道」と呼ばれるようになったとか。「思索の小径」のほうが個人的にはグッとくるが、それはまぁいいとして、この小道、実は猫たちのたまり場でもある。哲学の道の南のスタート地点、熊野若王子神社付近。穏やかに晴れた日にここに行くと、十中八九ニャンコに会える。




  桜や紅葉シーズンなんかは、思索なんてとてもじゃないけど出来ないくらいに観光客で込み合う小道だが、普段はひっそりと静かな時の流れる猫たちの聖域なのだ。





  
  どんなに近寄って写真を撮ろうが、知らん顔で日向ぼっこ。



  これぞ私が猫好きである最大の理由。彼(彼女)らは人に媚びない。正しくは、人に甘えたい気分の時はそれこそ猫なで声ですり寄ってくるが、そうでないときはまるで無視。「こっちくんな」とでも言いたげな顔で睨んでくる奴もいる。(もちろん人間と同じく個体差あり)だからこそ一緒にいて心地いいし、野良猫たちのたくましさに惚れ惚れもする。





そのに。嵐山(亀山公園)



  嵐山と聞いて最初に頭に浮かぶ画は渡月橋だろうか、竹林の道だろうか。この地も由緒正しき景勝地だ。
  嵐山駅前の混雑したメインストリートを抜け、竹林の道を案外あっさり見終え、大堰(おおい)川の方角へとまっすぐ歩を進めると、亀山公園の敷地内に入る。駅前の喧騒がうそのような静かな公園内を通り抜けると、渡月橋を望む川沿いへと出ることが出来るのだ。

  竹林も渡月橋も、嵐山を彩る桜やもみじも素敵だけれど、私のお気に入りは、亀山公園内にひっそりと佇む一見して茶屋のようなひなびた茅葺の小屋…にいるひどく不細工な老猫だ。
  いつ会いに行っても、必ずいる。そしていつみても不細工。埃まみれの縁台に腰掛けふと一息つくと、どこからか不細工な面を下げて奴がぬっとやってくる。膝の上をあけてやると、よっこらせと腰をおろし気持ちよさそうにウトウトし出すのだから、こいつはもう何年もの間、ここでこうして嵐山を訪れた人々にかわいがってもらっているのだろう。


 

  しばらく居眠りをした後は、ふと用事を思い出したかのようにどっこいしょと重い腰をあげ、猫らしく伸びをしてから小屋の奥の草陰へと消える。

  野良猫なのかな。餌はどうしているんだろう。誰かにいじめられたりはしていないかな。なんであんなに不細工なんだ?こう書いている内にだんだんとまた会いたくなってきた。





そのた。



  紹介し出すときりがないが、京都駅からほど近い梅小路公園内、芝生広場の南側。夕暮れ時の人がまばらになってくる時間帯に、猫たちに出くわすことがよくある。また、京都大学近く、節分祭で有名な吉田神社のある吉田山麓には、猫たちのめくるめく世界が広がっている。他にも、東山は泉涌寺へと続く坂道にひっそりと広がる古い住宅街では、たくさんの猫と人とが共存している。



  京都は猫のまち。是非、人の波にぞろぞろとついていくばかりでなく、すっと人気のない路地に迷い込んでばったり猫と出逢って頂きたい。




  さっきからティガーがキーボードの上を縦横無尽に行き来しているせいで、何度も文章を打ち直す羽目になりちょっと疲れてしまった。猫を飼ってらっしゃる方なら全力で頷いて下さると思うが、猫はなぜかPCのキーボードの上に乗りたがる。遊んでほしいのか、踏み心地がいいのか…。
  一緒にいたいけど仕事には集中したい、というわがままな飼い主さんに朗報。ナント、猫がキーボードの上を歩くと自動的にキーがロックされ、間髪いれずに猫の嫌がる音が大音量で流されるという画期的なソフトを開発した人がいるらしい。ソフトはその名も“PawSense” (ちなみにこれ、“イグ”ノーベル賞受賞。)US$19.99(送料別途)で販売中だそう。
  
  以上猫の話終わり。

3 コメント:

私もネコを飼い始めて10か月ぐらいになります。思わず、うんうん、と頷きたくなるようなことが書いてあり読みふけってしまいました。
うちのネコはチビという名前なんですが
私も1人反省会中、チビに「まぁ、気楽にやれや」って言われてるような気がします。(^v^)

私は犬派だけど、気持ちわかるー!犬になら恥ずかしみもなく赤ちゃん言葉で話せるもんねぇ~。

M字模様という点では僕も同種なので、時々かわいがってください。