読書感想文的散文

ウクライナが大変なことになってしまって、本来なら近いうちにシベリア鉄道でロシアを横断した後、その足でウクライナへ入って東欧を旅しようかな、とか考えていたのに、なんかしばらく行けそうにもないですね。
ジェイホッパーズ京都のしばたです。みなさんいかがお過ごしですか。

旅行へ行けないときは代わりに外国の小説を読みます。ガルシア・マルケス氏追悼関連ということで(?)、さいきん読んだ(そして最後まで読めた)海外の小説を少し紹介します。



・「ペンギンの憂鬱」(アンドレイ・クルコフ著)

ソ連崩壊後のウクライナのキエフが舞台の小説。憂鬱症のペンギンと暮らす売れない小説家の話です。たしか、ウクライナ語で書いても出版できないからロシア語で小説を書いた、みたいなことがあとがき(か訳者あとがき)に書いてあった気がします(うろ覚え)。ふーん、と思ったけどひとつの小説からロシアという国とウクライナという国の関係が透けて見えるようで興味深くて、たぶんそのことをなんとなく覚えているんだと思います。

・「厳重に監視された列車」(ボフミル・フラバル著)

重々しいですがいい題名だなと思います。舞台は第二次世界大戦中、ナチスドイツ占領下のチェコです。チェコ文学界においてフラバルさんは、ミラン・クンデラ(「存在の耐えられない軽さ」←わたしは映画しかみたことがない)とかと並んで20世紀後半を代表する作家とか言われるらしいです。
題名は仰々しいんですが、内容は田舎の若い駅員がどうやって童貞を卒業しようかとか悩んでる話です(もちろんそれだけではないですが)。

・「バン、バン!はい死んだ」(ミュリエル・スパーク著)

スコットランド人女性作家による短編小説集です。ブラックユーモアに溢れて・・・とか評されていますが、これがイギリス(スコットランド)流ブラックユーモアなのか、意地が悪くひねくれていているなぁと思いました。

・「観光」(ラッタウット・ラープチャルーンサップ著)

タイ系アメリカ人作家によるタイを舞台にした短編集。タイに一度でも旅行したことがある人がよむとなんだか居心地が悪くなるんじゃないかな、と思います。外国人旅行者(主に欧米人)の描写あたりが。タイの社会が舞台ですが描かれている内容はいたって普遍的で、それこそ「初恋」とか「親友を裏切ること」とか「家族」とか。決して遠い世界の話ではなく、自分自身の話のようでなんともいえない気分になりました。



以上、旅行にでかけたくなる4選でした。
とか言うとリア充系の雑誌の特集みたいでいやですが、たとえ読む場所はイオンモールの喫茶店とかでも、こういう本を読んでいる間は意識は外国へ行っちゃっているので、しばらく旅していないなぁとか言う時によかったら読んでみてください。


外国の作品だと文化的・社会的背景が違うから、といういい距離感があって、意外とどんな内容でもそれなりにすんなり読めてしまいます。変にひっかからないというか重たく捉えないですむというか。それが日本の作家になると、どうしても読んでいてシリアスになってしまうことが多いかもしれません。以前中国を旅行中に、話の舞台が上海だからといって少しキバって金子光晴の「どくろ杯」を読んだ時は、しばらく気分がすっきりしなくて困りました。



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