被爆者の肉声 ~伝えていかなければいけないコト~
こんにちは。ジェイホッパーズ広島のマモルです。今回のブログでは、胸の痛む、だけれども広島人としてどうしても伝えておきたいお話を紹介したいと思います。
イキナリ重い話題になるかもしれませんが…僕はいわゆる『被爆3世』です。僕の祖母は25歳のとき被爆しています。彼女は原爆の生き残りです。
1945年8月6日の朝、祖母は爆心地から2kmほどの実家で倒壊した家の下敷きになりました。その後、路面電車で仕事に向かっていた妹を市内で探し回ったため、彼女は全身に放射能を浴びました。
市内から帰って来た後、髪の毛がズルズルと抜け落ちたそうです。彼女の体には明らかに被爆症状が現れていました。その後、祖父との間に父を産み、そして僕が産まれました。明らかな被爆症状が現れながらも、よく健康な父を産んでくれたものだと、今でも思います。
僕の両親は祖父母と暮らし、共働きだったので、僕はいわゆる『おばあちゃんっ子』でした。物心ついたときには原爆の話を―原爆直後の広島市内がどれほど悲惨だったかを―繰り返し繰り返し聞かされて育ちました。
彼女の妹はいまだに骨すら見つかっていません。繰り返される原爆の話の最後にはいつも妹の話になり、その話をするとき祖母はいつも涙を浮かべていました。骨を見つけてやりたいんだ、と。
僕は広島という重い歴史を背負った街で生まれ、育ちました。
祖母は今年90歳ですが、彼女の口から原爆の話が語られることはもう二度となくなりました。彼女は5年前に痴呆症を発病し、自分の名前すら忘れ、老人ホームで静かな日々を送っています。
あと何十年かすれば、原爆を実際に体験し、そして生き残った人々の話 ~伝えていかなければいけないコト~ を直接耳にすることは難しくなるかもしれません。それは歴史の一部を失うことであり、なにかしらの危機感を抱かなければいけないことなのかもしれません。
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4月19日付けの中国新聞(広島ではメジャーな地方紙)で、あるウェブサイトが紹介されていました。『被爆者の声』というサイトです。
このウェブサイトは、私費を投じて1000人以上の被爆者の肉声を収録し、昨年3月に72歳で死去した元長崎放送記者、伊藤明彦さんの思想や活動に共鳴する次世代の人たちによって作り上げられたものです。
徹底して被爆者の肉声をそのまま伝えることにこだわっていて、「肉声を無編集で次の時代の人々に手渡したい…。解釈や編集はその時代の人々にまかせればよい」という考えに基づいています。
広島の証言だけでも、8月5日夜~8月6日昼(ディスク1)、8月6日昼~夜(ディスク2)、8月7日~8月14日(ディスク3)まで131話の証言を肉声で聞くことができます。
【証言抜粋】
■ 証言 022 半裸体になって人が次々次々(ディスク1)
■ 証言 043 川ん中が埋まってしまって(ディスク1)
■ 証言 057 皮膚の焼けた皮がみんなぺったり手に(ディスク2)
■ 証言 067 肉の塊のようなものを持って(ディスク2)
■ 証言 117 鳶口で目のところをぐっと刺して(ディスク3)
■ 証言 119 手鉤でぷすっとね、刺すんです(ディスク3)
耳を覆いたくなるような話ばかりですが、どれも祖母から聞かされていた話と似ています。これらは全て実際に起こったことであり、それを見た被爆者本人の肉声によって語られることで、胸の底に届く生きた声になっています。
最近ではオバマ米政権が進める核体制の見直し(NPR)や、核拡散防止条約(NPT)がトップニュースになることもありますが、被爆地・広島として核兵器がどれほど悲惨なものか、もっと強く発言すべきなのかもしれません。
このブログを通じて、少しでも多くの方が被爆者の声を聞くことを祈っています。
■ 『被爆者の声』
■ 伊藤さんのエッセイが読める「ブログ 伊藤明彦 ヒロ・ナガ.com」
コメント
でも貴重なものを教えてくれてありがとうございます。友達にもこういうものがあるっていうのを伝えていきますね。
そうですね、言葉を失う証言ばかりです。でも、全部本当にあったことで、それを体験した方々が肉声で語っています。決して失ってはいけない重い歴史だと思います。
この『被爆者の声』は英語のサイトも充実しているので(肉声は英語のサブタイトル付きですし、英語のサイトには動画もあります)、英語圏の方にもぜひ紹介してください。
コメントありがとうございました。
まもるくんが書いてくれたこのブログをしっかり読んでからいったのもあって、より伝わってくることがありました。
投稿ありがとうございました。
そうですね、ジェイホッパーズは爆心地から目と鼻の先なので、想像もつかない熱と爆風が町全体を包んだと思います。たくさんの人々が住んでいた地域だと思いますが、生き残ることができた人は少ないかもしれません。
たくさんの人たちの犠牲と、生き残った人たちの努力で今の広島があること。それは広島に住む全ての人が絶対に忘れてはいけない重い歴史だと思います。
コメントありがとうございました。
Swallowtailの原爆の語り部の会は是非一度参加したいです。被爆者の高齢化でそのような機会は実際に減りつつあると思いますし、だからこそ、このブログで紹介したウェブサイトが重要な意味を持つようになるとは思うのですが、なによりも、その本人を目の前にして体温を感じながら、目をそらしたくなるような悲惨な歴史を自分自身に刻み込み、もし僕に子供ができたなら、広島のもつ重い歴史を僕自身がタスキになって、少しでも多く伝えていきたいと思います。